新都社のWEB漫画を読んでいた頃
最初は「しんと」と呼んでいたが「にいと」だったことにしばらくして気が付いた。
いまでも存在するこのサイトは、誰でも漫画が投稿できるサイトで、web漫画の先駆けとして存在した。何もかもが無料。ワンパンマンもここが始まりだった。
自由なサイトなので、殴り書きで作品とも呼べないレベルのものあれば、プロレベルの作品を投稿するものまで、魑魅魍魎の巣窟であった。
印象的だったのは途中まで気合をいれて綺麗な絵で描いているのに、もうめんどくさくなって、途端にうんこ!!!!(本当によくあったと思う)と殴り描いて終わっていた作品。子ども心にこんなのありか!!?と思ったし、そういう作品を見つけるとなんだか笑えていた。
当時の自分は周りがナルトが!!ワンピースが!!とジャンプの話で盛り上がる中、
誰とも共通言語になかったここが居心地よく思えたようである。いい加減さが気楽だったのか、無料で読めるからとか、自分だけが知っている優越感とかその程度のことだったんだろうけど。
今でも印象深い作品がいくつかある。
一番にあげたくなるのは
『妄想少年』
主人公は絵の上手な少年なのだが、いじめられていて、かっとなりいじめっ子が車に轢かれる様子を描いてしまう。そうするとそれが現実になり死んでしまう。
そんなおどろおどろしい展開が始まりの物語。
内容に加えて、圧倒的な画力に惹かれざるを得なかった、衝撃的だった。
自分は”いじめ”というほどのことはされなかったが、少し太っていたりして、同級生たちにからかわれることが良くあった。そうして限界を迎えるほどでもない負の感情が自分の中に蓄積されていた。
負の感情を擬人化させたような主人公に共感したのだろう。彼は善人でもなかったし、理解できないほどの悪人ではなかった(記憶の限り…)
真っすぐではない、主人公の存在を見て少し安心できたのかもしれない。完結されずに更新はとまっている。今作者は何をしているのかな、プロになっていたりしないかな。
次に、『でぃらん』
優しい風味の作品で、若い少年少女ら家族が共同生活を送る物語だったと思うのだが、記憶に自信がない。作品は現在公開停止。カラーのイラストがいつも素敵だった。その他の作者の短編はいくつか公式サイトで確認できる。
大人になったのち、ツイッターで読んでいた「はぐちさん」の作者が
この「でぃらん」の作者”くらっぺ”だと知った時、とてつもなくうれしい気持ちになったのを覚えている。もし自分にやさしい部分が少しでもあるとすれば、それは「でぃらん」があってくれたからだとさえ思う。そんな作品。
くらっぺさんがそんなでぃらんが非公開の理由をインタビューで答えていた。稚拙で恥ずかしいかららしい。嘘だろぉ、俺にだけでもいいから公開してくれはしないか。
そうして、最後に『ピーチボーイリバーサイド』
この作品は当時の新都社とは思えぬクオリティのバトルマンガ。桃太郎が鬼を退治するという物語を主軸にキャラ、展開、バトルシーン、画力そのどれもが輝いて見えた。これは現在も読める、話数が進むにつれて絵が上手くなっていくのも好き。ウサギがカッコ可愛い。
作者は「クール教信者」今や、単行本を出版社から出すどころか、アニメ化までされている方なのだ。
こちらも是非。短編で読みやすいと思う。
作者のふり幅がすごいと、心底思った。
心情の描き方など大好きだ。
思い出される好きな作品まだまだある。
でも、まずはこの特別な3つのことを書きたかった。
再び新都社のリンク